第60回国際脈管学会と第13回 Japan Endovascular Symposiumを終えて
皆さまのご協力とご支援を受け、2018年8月20日から23日にかけて合同開催しました第60回国際脈管学会と第13回Japan Endovascular Symposium (JES2018)を無事終えることができました。おかげさまで世界12か国から延べ924名の方にご参加いただき、参加者アンケートでは全員から「有意義であった」、「来年も参加したい」とのコメントを頂きました。
今回は従前の「JES研究会は血管病治療医の研鑽の場」に加えて「添え木とOff the job training を通じての社会貢献」を開催趣旨としました。「添え木」は昨今の学会を取り巻く厳しい状況故に国際脈管学会を単独で開催するのは財政的に難しく、そのためより集客力があり財政基盤の安定しているJESを国際脈管学会の添え木とする、という意味です。来年は後述するように慈恵医大で第25回日本血管外科学会を主催しますが、その際もこの「添え木」機能を発揮したいです。
またOff the job training(OffJT)に関しては、新専門医制度に併せて策定された心臓血管外科専門医の取得要件に「OffJT30時間履修」が加わりましたが、まだ受講できるOffJTコースも取得できる単位も極めて限られていることからJES期間中に効率良く勉強できる場を設けることで若手外科医支援・社会貢献をしたいとの想いでした。OffJTには43名の若手が参加し、全員から有意義だった、後輩に勧めたい、とのアンケート回答が得られました。また、一人最大12時間の履修証明書を発行することが出来一定の社会貢献ができたと自負しています。
さて、8月20日の国際脈管学会の開会式には元経団連会長でキャノン株式会社の御手洗冨士夫会長にお言葉を賜りました。御手洗会長には学会に花を添えていただくためにお願いした次第ですが、長年のゴルフ仲間であったことから普段お引き受けされていないこうしたスピーチを快諾して下さりましたが、改めてゴルフ仲間のありがたさを感じました。なお、裏話になりますが、スピーチをお願いした際に「医学系学会でスピーチしたことはないので原稿を書いてくれるならお引き受けしましょう」と言われましたので私がスピーチ原稿を執筆しました。しかし、当日のスピーチには私の言葉は一言も残っておらずすべて御手洗会長ご自身のお言葉で語られました。ご多忙を極めていらっしゃるのにこのご配慮と友情には頭の下がる想いです。以下に同時通訳されたその全文を掲載します。
~御手洗会長ご挨拶全文~
「ただいまご紹介に預かりましたキヤノンの御手洗です。
このたびは、国際脈管学会の第60回記念大会がかくも盛大に開催されましたこと、誠におめでとうございます。また、伝統ある国際脈管学会のオープニングでご挨拶をさせていただく機会を頂戴し、大変に光栄に存じます。
さて、ご出席の皆様の中には、一般にはカメラや事務機の会社として知られているキヤノンのCEOが、なぜ脈管の学会でご挨拶をするのか、やや奇異に思われている方もいらっしゃるかもしれません。また、私といたしましても、医学系の学会に参加するのは、初めてのことです。しかし、これにはれっきとした理由がございます。
その最大の訳は、貴会の会長である大木隆生先生と、かねてより親しくお付き合いさせていただいており、個人的に、大木先生の、一人でも多くの人の命を救いたいという強い熱意、そして、患者のために全身全霊で取り組むプロフェッショナル精神に、心から敬服し、惚れ込んでいるからであります。
日本を始め世界各国で、長寿化、高齢化が進む中で、血管病の患者はますます増えていくことが予想されます。少し前に、私は、イギリスのBBCにあたる日本の公共放送が制作した、大木先生のドキュメンタリー番組を拝見しました。まさに「神の手」「最後の砦」というにふさわしい大変なお仕事ぶりでした。
また、その番組を通じて、大木先生が、思い切って渡米し、最初は無給のスタッフから、ご自身の実力で、最年少で外科の教授にまで上り詰めた、まさにたたき上げの人間、英語でいうところのself-made personであることを知りました。そうしたことから、大木先生を全力で応援するべく、馳せ参じた次第であります。
もう一つの理由でございますが、キヤノンは一昨年、CTやMRIの分野で国際的な競争力を持つ東芝メディカルシステムズをグループに迎え入れ、キヤノンメディカルシステムズとして、今後、医療・ヘルスケアの分野に、貢献してまいりたいと考えております。
皆様の中には、国連の持続的開発目標、SDGsをご存知の方も多いと思います。SDGsは2030年までに世界各国が達成すべき17の目標を定めておりますが、先進国、新興国を問わず、世界中の全ての人々に健康な暮らしを保証することは、SDGsの最も重要な目標の一つであります。
これを実現するためには、貴学会のような専門の先生方を中心に、民間企業や各国政府が互いに力を合わせていくことが不可欠であると思います。今後、キヤノングループとして、医療・ヘルスケアの分野において真に役に立つ新しい技術、新しい製品、新しいサービスを提供してまいりますので、是非ともご愛顧のほど、どうぞよろしくお願いいたします。
最後になりましたが、未曾有の高齢化社会に突入し、今後ますます血管病の患者が増えていくことが予想されるわが国において、血管病を扱われる貴学会が記念大会を開催されますことは、極めて時宜を得たものであり、国益に資する討議がなされ、世界中に貴重なメッセージが発信されるものと確信いたしております。
本日から始まります第60回国際脈管学会と第13回Japan Endovascular Symposiumにおきまして、大きな成果が得られることを祈念いたしまして、私からのご挨拶とさせていただきます。
ありがとうございました。」
両学会に取りましても、私個人に取りましても過分でありがたい、示唆に富んだお話で一同感銘しました。
来年は第25回日本血管内治療学会を第14回JESと共同開催する予定ですが、毎年行っている参加者アンケートでは参加者の100%が「JES2018が有意義だった」、そして来年の日本血管内治療学会・JESに関しても全員が「参加したい」との心温まる回答を得ることができ、来年の両学会開催に向けて好スタートをきることができました。
今後も外科学講座と血管外科一同はより良い医療に取り組み本学の発展に寄与する所存ですので何卒ご協力を賜りますようお願い申し上げます。
大木 隆生
東京慈恵会医科大学 外科学講座
統括責任者・血管外科教授
次回の開催予定
第14回 Japan Endovascular Symposium (JES2019)
- 会期
- 2019年 8月21日(水)・22日(木)
- 会場
- 東京慈恵会医科大学 3階 講堂(大学1号館)
第25回日本血管内治療学会学術総会 8月20日(火)- 21日(水)、
第23回大動脈ステントグラフト研究会 8月21日(水)と共同開催となります。
■ JES 2018 会期
2018年 8月22日(水),23日(木)
※ 60th Annual Congress International College of Angiology (ICA2018)
会期:2018年8月20日(月)・21日(火)と共同開催となります。
■ 会場
東京慈恵会医科大学 大学1号館
● 所在地:〒105-8461 東京都港区西新橋3-25-8
■ 主催
Japan Endovascular Symposium研究会
● http://www.japanendovascular.com/
■ 実行委員長
大木 隆生
Takao Ohki,MD
東京慈恵会医科大学 血管外科
Division of Vascular and Endovascular Surgery
Albert Einstein College of Medicine
New York, USA
■ 世話人
古森 公浩、横井 宏佳、大木 隆生
お問合せ先
JES運営事務局
株式会社 エヌ・プラクティス 内
- ● 所在地:
- 〒541-0046
大阪市中央区平野町1-8-13平野町 八千代ビル 7F
- ● 電 話:
- 06-6203-6731
- ● FAX:
- 06-6203-6730
- ● Email :
- jes-info@n-practice.co.jp